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読書23 今や巨大企業ミネベアミツミ その歴史がわかる それでも私は会社を買う 香村正光 

 

それでも私は会社を買う―高橋高見のM&A世界戦略

香村正光

 

選書理由:高橋高見という経営者がいかにM&Aを用いて会社を大きくしたか知りたかった

 

構成: 一般的な話、高橋高見という人物像、ミネベアについてそれぞれ箇条書きでまとめる

 

感想:一般的な部分について。自由主義の経済が発展する要素として1.新規参入者としてベンチャーの発展と育成2.フェアな競争を見守る独禁法3.活発なM&Aがある。M&Aのメリットは市場参入の時間短縮、投資コストの節約(歳月とともにインフレは進むので時間をかけない方が良い)、摩擦の回避がある。アメリカでは資本と経営がはっきりと分かれていてM&Aがやりやすく浸透している。近年の日本でも、ミネベア、京セラ、サントリー、旭硝子などはこの手法を用いるようになっている。

 

日本の大企業は良い部品を下請けメーカーに外注し定期的に値下げをする看板方式で競争力を高めてきたが、全て外注メーカーの負担となる。
インダストリーでは良い品質のものを作るが原点である。少しでも早く安く売れば必ず成功する。最も大事なのは生産現場と営業現場である。

 

なので、ビジネスリーダーとして大事な要素は、現場のプラクティカルな問題、トラブルを判断し改善する能力、それができる人をやる気にさせ、統率する能力である。これを間違って単に高学歴の人が上に行くと下の人は論理的には勝てず、閃きが生まれずスポイルが生じる。大切なのは現場の閃きの高揚であり、統制が少ない程その活気が出る。会社の高度なプランニングより工程を1秒縮めることの方が大切である。閃きというものは実務経験と生まれながらのセンスが大きい。感性や閃きということは学校では学べない。現場では各ラインの人にこの感性をいかに発揮させるのが大切。創業的成功をした人はトップ経営者になりうる感性をしている。日本の経営者はアメリカに比べ能力が低く、抽象的な精神論をいうだけであり統制がないので逆にこの閃きが生まれやすい。仕事にいき詰まれば常に原点に戻り、大学卒業者がどう考えるではなく、高等小学卒がどう考えるかを思い出せと説く。

 

インダストリービジネスで大事なのは1.商品開発力(技術力)頭部の中身2.マーケティングを含む営業力(ブランドを含む営業力)顔と腕3.製造力、腰、足、ボディ

 

高橋高見の人物像

・英語は必ずしも上手くないが、曖昧でなく明確であるのでアメリカ人記者にも好評である

・社長の大事な仕事は大きな読みを外さないこと。仕事中心の信賞必罰がミネベアの信条

・石塚曰く、高見の戦略には定石はなく自由奔放で独創。自分は、管理させすればミスはないと謙遜するが、6の金が必要な時は10借りておくなど常にリスクを回避してきた。

・タイのバンコク銀行頭取の父を日本で診察したいと言われた時は、法規制やベッドのスペースがあるかなどをすぐに調べさせた。外国人と接する時はなるべく曖昧にしすぎない。日本人は好意的な約束で実行を忘れてしまいがガチである。

・貿易摩擦について、ムーア大将に直接アポをとり話すが予想より深刻であると判断すると、すぐ部下をサンフランシスコに向かわせ3ヶ月後に会おうと行った。

・紙の爆弾を発行するのは社内の意思統一には一番良い

・酒は飲まず、ゴルフはハーフで40台、会社の飲み会も少なくプライベートに干渉はしない

・男子厨房に入らずではなく、料理くらいできないと機会はいじれない

・現場に入って感性を研ぎ澄ませがモットー

・声も大きく、声量やリズムがある。元気の出る人、相手も元気にさせる無類のリーダー

ミネベアという会社

・アメリカに駐在しているセールスに週に1回社長宛にレポートを書くよう義務づけられている。テーマの一つは、有力ユーザー6千に対し、M&Aに興味はあるか?会社を売る気はあるか?

・三機の自社ヘリを持ち、軽井沢と半導体館山工場を毎日飛び回り、シンガポール、タイと成田の間も自社ボーイングで週に3回運行していた。そのおかげで、ヨーロッパの停戦の動きを見て発注をキャンセルしたかと思えば、中国では好戦的でその取り消しをするなど感じすぐに決断する。

・10年経っても立派な家と言われるようなものを軽井沢にと作成した。竹中工務店も前年度1.6億円の会社が2億円のオーダーをしたことに驚いた。人間の行うことは常にコストや目的がつきまとうが、別にそこから離れて人間がすることはいくらでもある。社長室などにはコストをかけずに軽井沢工場や別荘に金をかけるのは海外投資家説得の意味合いもある。

・人事はA~Gの段階であるし、他社で注射を受けたものの方がわが社で成長すると推奨した

 

 

評価:星4.2(A)

日本人としてはあまり良いイメージのないM&Aであるが、それを使いこなしている剛腕経営者がかつてはいた。名前は高橋高見であり、今やミネベアミツミは1兆円企業である。こんなスピード感があり、英断できる経営者になりたいと思わせてくれました。

 

 

こんな人に読んでほしい

組織・企業を拡大したい人、M&Aに興味のある金融系の方、経営者やビジネスマンの方。

 

 

意見は完全に私見ですので、あくまで参考までにお願いします

S 4.5 ~ 5.0 [読むと思考が変わる]

A 4.0 ~ 4.5 [持っていて損はない]

B 3.5 ~ 4.0 [時間があるときに読みたい]

C 3.0 ~ 3.5 [読まなくても良い]

 

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